いつか聖夜に

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「ああ、もう!また寝てる。ちょっと、もしもーし!」 大きな声と、揺り椅子のぎしぎしという悲鳴にぼんやり目を開けると、そこには真っ赤なリンゴがありました。 まんまるでツヤツヤで、なんておいしそう。思わずかぶり付くと、あま~… 「いったーい!」 叫び声と共に、鼻の頭をガツン!とやられて目が覚めました。 目の前には、涙目でへたり込む見慣れた顔。 「いたた…いきなり鼻をかじるなんて酷いじゃないですか!」 「やあ、ルドルフか。あんまり真っ赤でおいしそうだったから、つい…そうか、君の鼻だったのか。ごめん、ごめん。」 鼻を咬まれたのは、トナカイのルドルフでした。 どうやら、驚いた拍子に蹄で蹴っ飛ばしてしまったようです。 文句を言われたその人は、決まり悪そうに笑いながら、蹄の形に赤らんだ自分の鼻を撫でます。 「んもう、気を付けてくださいよ!だいたい、居眠りなんてしていられないんですからね!」 プリプリと怒りながら、ルドルフはいくつもの大きな袋を引き摺って、その人の前に並べます。 「今年も、たくさんのお手紙が届きましたよ!ポストになんて入りゃしませんから、中まで持って来ました。さあ、どうぞ。」 さっきまでの怒り顔はどこへやら、ルドルフは満面の笑みです。 「おお、おお、子供達!今年はどんなわがままを聞かせてくれるのかな?」 もう気付いたかしら? そう!揺り椅子を残して嬉しそうに袋を覗き込むその人こそ、サンタクロース! 皆から届いたお手紙を、今受け取ったところです。
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