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「おはよ、弘隆」 起きてくると、いつものように母さんはすでに朝食の準備をしてくれていた。 「...おはよ」 俺は昔から朝が弱い。 だけど、社会人として、起きて朝食を食べたら職場に向かわなければならない。 もっとも俺の職場は隣にあるんだけど。 俺は隣にある、松井医院の院長だ。 といっても、ひーじーちゃんが独立してたちあげた医院を、じーちゃん、父さんと受け継いできて。 何年か前、父さんが転んで骨折して思うように働けなくなったのを機におれが受け継いだ。 「そういえば、弘隆、聞いた?」 ...何を。 なんて聞く前に、その答えはきた。 「聖那ちゃん、帰ってくるらしいわよ」 聖那が? 清水 聖那(シミズセナ) 松井医院の隣に住む俺の幼なじみ。 幼稚園も小学校も中学校も同じだった。 高校は...俺は進学校に行ったし、聖那は女子校に行ったから違っていたけど。 でも、最寄り駅は2つ先なだけだったから電車でよく会ってた。
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