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半信半疑でサイトを立ち上げた。
『リアル美少女ゲーム』
胡散臭いタイトルと、怪しげな装飾の施されたホームページを目にして、加藤裕輔(かとうゆうすけ)は辟易とした。
美少女ゲームとは、主人公が幾人ものヒロインたちのストーリーを進めて攻略する、恋愛シミュレーションだ。
恋愛などくだらない。
中学頃、クラス半分は色恋沙汰で夢中になったが、裕輔には関心のない事象だった。
異性との交際に利益があるのだろうか。釈然としなかった。そういう人種を理解する日はこないと思っていた。
だが――。
裕輔は大学三回生で、自画自賛するが成績はかなりいい。首席での卒業も狙える位置だ。
卒業後は出世街道を走る事になるだろう。ただそのための最難関が結婚だ。脈々と横行する悪しき慣習である。
この『リアル――』をプレイすれば、通常より効率的に恋愛を経験できるらしい。
興味を惹かれる触れ込みだった。学業に費やす時間は一秒たりとも無駄にしたくない。無料なのも大きな利点だ。
会員登録にスマートフォンのメールアドレスを設定した。ログインすると会員規約のページへ飛んだ。同意して進む。
次にゲーム内容を説明する画面へ切替わった。進め方が簡単に書かれていた。
やがて画面中央にこんな文字が現れた。
『あなたの最初のヒロインを選択してください』
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