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最終話
終業式の日、短縮だった。四月から三年生になる。
三年生になると忙しくなる。
学校が終わるとおそらく、フランス料理店や料亭
などで一時間程、修行をする事になるだろう。少し
気が重い。
奈々は愛未と学校帰りにモスで昼食を摂った後、
いつもの通り、電車に乗って帰宅した。家には直帰せず
飛鳥山公園を散策した。
公園内の植物は、春の準備を始めていた。桜の木は
つぼみが思い切り膨らんでる。もうすぐ咲くだろう。
しかし冬の冷たさもやや残っている。冷たい風に髪が
そよぐが、間近の春の気配を身で感じていた。ここの桜の木が
満開になり、目を奪われる程の鮮烈な色に染まるのは目と鼻の
先だ。
奈々はベンチに腰掛け、ソッと瞳を閉じた。
(何か年明けに色々あったなぁ)
学年一のアイドル智也が突然来店したり、痴漢にあったり
実にせわしかった。
(由奈さんも智也君も行っちゃうんだなぁ)
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