第四話「消えた挿絵」

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「大変だ。遼哉、これを読んでくれ。源蔵からの手紙だ」 「源祖父から」  遼哉はパソコンから目を離して手紙を受け取った。 『突然、すまない。  時間がないので、用件だけ記しておく。  港町にある文港堂書店に急いでくれ。本の挿絵として描かれていた妖怪が消えたらしい。  詳しくは文港堂書店の佐久間店主から聞いてくれ。  佐久間とは親しくしていたから私の名前を言えば、きっと問題ない。  頼んだぞ  源蔵』  なんだこれは。いきなりそんなことを言われても港町の文港堂書店ってどこだよ。挿絵の妖怪ってなんだよ。源祖父はなんでそんなことを知っているのかも疑問だ。 「樹実渡、これどういうことだ。この書店がどこにあるのか知っているか。なんで、源祖父がこんなこと」 「さあな。おいらにはわからない」 「それじゃ、どうにもできないじゃないか」  そこにグレンが何かを銜えてやってきた。目の前に銜えたものをぽとりと落としてじっとみつめてくる。  手紙か。しかも、源祖父宛ての手紙だ。 「あっ、それ」  樹実渡が突然大声をあげた。 「なんだ知っているのか」 「こないだ届いたんだ。源蔵はもういないっていうのになって思っていて忘れていた」 「しょうがないな、樹実渡は」 「けど、忙しかったからさ。宝文堂のことで」  そうか、宝文堂の復活を願って頑張っていたときに届いたのか。まあ、仕方がないか。
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