プロローグ 

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 手を伸ばしても届かない。  伸ばすことすら許されない。  もう二度と触れられない。  願うこと自体間違っているのかもしれない。  何よりも大切だったはずのソレは、この手をすり抜けて、空へと消えた。  何よりも欲しかったソレは、この身を置いて、闇へと消えた。  貴方がそこにいるというこが、ただそれだけが、望みだったのに。  私の望んだ完璧な。  美しい……家族という形。  己とは……いったい何なのか。  ボクの望んだ完璧な。  自分がここにいるということを、ただそれだけを、示したかっただけなのに。  ごめんなさい。  どうして?  ごめんなさい。  教えてよ。  ごめんなさい。  ボクは何?  求めるものは……  欲するものは……  ただひとつだけの、タイセツなもの……
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