こころおどる

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「お疲れさま。いい加減、休憩にしたら?」 彼の作業台の後ろのちいさなテーブルに 珈琲の入ったマグを置く。 「ありがとうございます。 憧れの社長が淹れた珈琲を飲んでるなんて。 贅沢だなあ。」 くすくすと笑いながら 作業の手を止め移動して 椅子の背に体を預け大きく伸びをする彼。 君沢 春樹(キミサワ ハルキ)は 社長である私にとって、とても大切な人材。 17才でファッションブランドを立ち上げ 何年も苦労して来たが、 それを創設当初から支えてくれたのが彼であり、 今では新ブランドのHARU.を任せている。 柔らかい少し癖のある焦げ茶色の髪に 長身、甘い声、温和な性格 そして最近掛けはじめたーー老眼鏡。 まだ若いのに老眼なんてと 彼は落ち込んでいたが、 逆にそれによって 女子からの人気は更に上がった。 年上だから敬語はいらないと言うのに、 ボスは貴女ですから。 と微笑み、いつも丁寧に話す男。
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