第5章 風車小屋と竜

86/98
368人が本棚に入れています
本棚に追加
/266ページ
「…優しい事を言ってくれるじゃないか。何だか父上と話しているみたいだ。」 「はぁ!?別にお前を心配してるんじゃない!ただ疑問に思っただけだ!」 ウォールは少し慌てた様子だった。それをごまかす様に言葉を続けた。 「お前は今はピンピンしてるじゃないか。7年前に何かあったのか?」 「そこは言えないね。」 「…エルグ達よりもお前の方が商品価値がありそうだな。」 「エルグ達はどうする?」 セレの眼差しは『エルグ達には絶対に手を出させない』と言わんばかりだった。 「今はやる気が失せた。また出直して来るさ。次に会う時にはお前も獲物だ。」 ウォールは立ち上がった。 「俺が捕まえるまで生きてろよ。」 「お前も無事でな。」 ウォールは何も答えずに歩き出した。そして橋の上に戻りかけた時… ポン! と音がした。 「うわ?!」 ウォールは紙吹雪をかぶっていた。 「あはは…」 セレが笑っている。 ウォールのウエストポーチにクラッカーを仕込んでおいたのだった。
/266ページ

最初のコメントを投稿しよう!