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「疲れた…もうイヤだ…」
「諦めんなよ、一緒に頑張ろうって約束したじゃないか!」
金髪の男が伏せている黒髪の男の肩をつかみ揺さぶる。
「マサト、俺はもうだめだ。俺の屍を越えて行け…」
「カズマ…!親友のお前を置いていける訳ないだろ…!」
震える手を強く握りながら、マサトは自分の親友の変わり果てた姿に涙した。
カズマはそんな親友の姿を見て、安心させるように笑った。
「俺に構ってたらお前は進めねぇ…なに、大丈夫だ…すぐに追いつくさ…」
「馬鹿野郎!こんなとこに置いていけるか!待ってろ!今起きれるようにするから…!」
マサトの手が横にあったそれにのびる。しかし、その手はカズマによって止められた。
「もうそれしかないだろ…?予備を取りにいく暇なんてねぇよ」
「くっそぉ……!」
自分のふがいなさを感じたのか、マサトは拳を下に叩きつけた。
「あのとき、ちゃんと補充していれば…!」
「自分の力を過信しすぎたんだ…自業自得ってやつだ…」
柔らかに微笑むカズマは、ゆっくりとまぶたをおろしはじめた。
「お前だけでも先に進んでおけ…」
「カズマ!」
「テメーならできるって俺は信じてる」
ゆっくりと光を失っていく瞳。握った手だけにまだ力が残っていた。
「大丈夫、少し眠るだけだ…すぐ起きる」
「カズマ…」
「ほんの少し眠るだ…ーー」
カズマの言葉が途切れ、強く握られていたはずの手はするりと簡単にこぼれ落ちた。
「カズマァァァ…!」
悔しげなマサトの声が響いた。
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