そこに眼鏡があったから。

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 なんだこいつ?  俺の顔を見て笑っているのか?  まさか。  駅員がこんな悪戯を考えたんじゃ……あれ?  よくよく彼の顔をよく見ると、彼の顔にも眼鏡が『描かれて』いた。  ふと周りを見渡すと、あちらこちらに自分と同じように、目の周りに黒い墨をつけた人が…… 「なるほど……ね。俺だけじゃねぇんだ」  悪戯の内容に気が付いた人も、そうでない人も。  見物人も、当事者も。  何故、この『悪戯』に対して文句を言わないのか。  何故、この『悪戯』を撤去するよう言わないのか。 「小さな悪戯、大きな悪意ってワケね」
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