現実とは離れた現実

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俺は1人で放課後の教室によく残っている。 部活をする生徒、友達とどこかへ遊びに行こうとする生徒、帰ろうとする生徒を、窓から見ながらスマホを触っていた。 なぜ残っているのか。 それは維吹が帰ってくるのを待っているからだ。 いつもの面白いネタは維吹が見つけて来てくれる。 そして教室の扉が大きい音を立てて開いた。 「涙!面白いゲームを見つけてきたよ!……あれ?今日バイト入ってなかった?」 「今日は無いよ。それにしてもまたゲームか……今回のは本当に面白いんだろうな?」 前に維吹が見つけてきたゲームは、全然面白くなかったのだ。 「今回のは今すごい人気があるって書いてあったゲームだから大丈夫だと思う!」 「だと思う、か……前回のゲームは画面をタップするだけの放置ゲーだったよな?…じゃあ今回のはどんなゲームなんだ?」 「簡単に言うと、RPGでレベルアップしたらアイテムがもらえて、そのアイテムでステータスをあげて戦っていくってゲームみたい」 「よくありがちなゲームだな……とりあえず始めるか……面白くなかったらもう二度と信じないからな」 「わ……分かってるよ!」 俺たちはそのゲームのキャラメイクを始めた。 キャラメイクは性別を選び、どういう戦い方が好きか選ぶだけだった。 「あれ?キャラメイクじゃないのか?」 「なんか雑だね…」 「また面白くないんじゃないか?」 「もうちょっとやってから考えよ?」 次に進んでみると、スキル選択だった。 このゲームのスキル選択は、さっきの質問から自動で決まると、説明に書いていた、 「ここで何が出るか…だな」 俺は呟いてスキルを選ぶ、をタップした。 維吹も押したようだった。 「スキル名…【狂人化】?」 説明には、【狂人化】は防御を捨て、攻撃、敏捷が大幅に上がるスキルです。と書いてあった。 「私は…【五重奏】?5種類の魔法を操ることが出来るスキルです。だって」 「そっちの方が面白そうだな…」 「【狂人化】の方がかっこいいと思うよ?私はそっちの方がやりたいな!」 そんな話をしているとスマホの画面が変わった。 『転送を開始します』 画面にはそう表示されているのを見た。 「転送?なぁ、維吹…!」 呼ぼうとした時、自分の目の前が暗くなり、暗闇に落ちていく感覚が襲って来た。
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