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「そうか。じゃあ、場所変えた方がよくないか?」
何となくそう提案してみる。もちろんそれは、あのリア充軍団と鉢合わせになることが気まずいからだ。それにもしかしたら今日はそこに優奈がいるかもしれない。もしそんな状態でお互いが見える範囲で昼食なんて取ろうものなら、優奈だっていたたまれないだろう。
しかし、この提案は半ば無駄だろうと思いながらしたものだった。それこそ白河の言うところの「リア充に屈する」ことになるこの提案を白河はバサッと切り捨てるものだろうと思っていたからだ。
「・・・それもそうね。」
「え?」
しかし、聞こえてきたのは予想外の返答だった。俺は思わず素っ頓狂な声を出してしまう。
「何よ。」
「いや…何でもない。」
正直こいつは絶対に場所は変えないと思っていた。提案をしたのは俺自身だというのになぜか理不尽な方法でだまし討ちにあったようなそんな気分に陥ってしまっていた。
我ながら本当に自分勝手だとは思う。どうして自分がこんなことを思うのか、その時はどう考えてもわからなかった。
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