小面の客

21/22
64人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
□□□□□□□ 一筋の光が、理子の瞼に優しくあたる。 伝い落ちる涙は、優しい真子の心を知ったから。 真子を鬼に落としたのは、私自身。 私自身が、鬼へと堕ちたから……。 理子はゆっくりと伸びをして、息を吸い、窓を開けた。 朝の清らかな風が、理子の髪を優しく撫でる。 窓に映った自分の顔が、一瞬微笑んだ。 真子が居ないのは、寂しい。 まだ当分慣れないと思う。 でも、真子は私のそばに、私の中に。 ずっと生きている。 「……ありがとう。真子」
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!