Caress of a penpoint

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「けど、先輩?」 「なんだ?」 「言いにくいんですが・・・」 後輩は言いにくそうな表情でこちらを見上げる。 「あ?なんだ?言ってみろよ。」 「ペン先出たまんまですよ・・・」 「・・・」 社員証を見ると、ぶら下げたペンによりワイシャツの鳩尾の辺りに何本もの赤い縞模様が出来上がっていた。 「さっきお前の企画書に赤入れたからだよ・・・」 がっかりと項垂れたいところをぐっとこらえて、俺はそう呟いた。 「えっ!?す、すみません・・・」 「悪いと思ったなら、クリーニング代の代わりにこれよろしくな。」 俺はにっこりと微笑むと仕事のファイルをドサリと渡す。 後輩は呆けた顔で俺を見つめるとそれを反射的に受け取った。 どこまでもよく躾けられている。 ギョッとする表情を横目に俺はさっさとその場を離れると、後ろから罵詈雑言が聞こえたような気がした。
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