悲鳴

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「キャアアアア!!」 小さなスタジオに、甲高い悲鳴が響き渡る。 「あいカット!」 続いて、男性の野太い声。 「トウヤさん、どうですか?」 悲鳴の主である女性、カオリが録音ブースの中から外にいる男性に問う。 「うーん、ミユカちゃんのイメージはさあ、もう少し可愛い感じなんだよねえ。リテイクお願いできるかな?」 トウヤと呼ばれた中年の男は、突き出た腹をさすりながら、そう返した。 「あ、はーい。じゃあリテイクいきまーす。」 可愛い悲鳴ってなんだよこのクソデブ、と言いたくなるのをこらえ、カオリはマイクに向き直る。
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