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「キャ~!」
カートに乗って進む形式のお化け屋敷に、彼女の可愛いコぶった悲鳴が響く。
彼女は俺に、お化け屋敷が怖い、か弱い女の子アピールをする余裕があるのだ。
恐らくそんなに怖くないのだろう。
それにしてもここのお化け屋敷、こんなに走行距離あったっけ? なかなか出口に着かない。
そう思っていると、ガタッと派手な音を立てて、カートが止まる。
「ギャッ!!」
突然現れたお化け役のキャストが彼女の長い髪を掴んだのだ。
「てめぇ! 離せよ!」
俺は彼女の髪を掴んだまま離さないキャストの頭をぶん殴った。
グシャ
不気味な音を立てて、その殴った頭がスイカのように割れて、キャストは崩れ落ちた。
「ギャアア!!」
彼女が本気の悲鳴をあげる。
とりあえず、ここから脱出するのが先決だ。
俺は遊園地にスマートフォンで電話をかける。
「いやあっ!お化けがあっちこっちから来るよっ!!」
彼女が震えた悲鳴をあげる。
頭の無い幽霊役のキャスト、腕の無いキャスト、顔の潰れたキャスト、それらが俺達に近付いてくる。
やりすぎだぞ! クレームを入れてやる!
そう思った瞬間、電話が繋がった。
「本日は休園日でございます。明日からのご来園をお待ちしております」
電話の向こうから平坦な口調の音声案内が流れる。
俺達はいったいどうして……?!
近付いて来た連中の一人が俺の背中にしがみつき、ガリガリと歯を立てて肉をかじり始めた。
悪夢のデート/END
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