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倉庫内にある荷物の上から見下ろしていた四人は、同時に地面へと降り立った。 瞬間的に周りは銃を構え直す。 それを気にすることもなく歩き、俺の前で立ち止まる。 「よく"忍耐"したな。」 「こんなもの本部の訓練に比べれば楽ですね。」 「ハハッ!そうか。 …じゃ、今度はこっちに集中しましょうか。」 隊長は俺の頭をクシャッと撫でると、俺を通り過ぎた先にあるソファにドカッと座った。 「はじめましてX。それから江原チカ。 PSP本部隊長の大崎だ。以後宜しく。 さて、俺はこれからお前たち全員を拘束し逮捕する。その前に聞きたいことがあれば何でも答えよう。 逮捕したら、尋問の権利は俺たちにあるからな。今のうちにスッキリさせたいなら時間をやろう。」 長い足を組み、両肘は背凭れにかけ、かなり横柄とも言える態度。 だが、隙だらけと見えないこともない。 それでも隙は………ない。 なぜならば、隊長の殺気は継続されたままだし、何より自分の背中を預けられる人間が三人もいるから。 「…いつ、私がXだと気付いたの?」 そんな単純な問いから始まった。 フッと笑みを浮かべ、指をパチンと鳴らす。 「……心。」 「正確には3年前から。あなたが特設サイトを作ったときかな。 我々は裏組織撲滅の為に創れた組織。その種のような存在まで把握しておくことは常。 ただ、その時は怪しいと目をつけていただけで、確信に変わったのは"黒川と付き合い始めた"頃だね。」 「…永悟、あなたは?」 「俺がちゃんと理解したのは"姉貴"が家に押し入ってきた翌日。 その時、彼女はこう言った。 "手玉と手元、似て非なる言葉遊びにご用心。果実の実と種は切っても切り離せない?…いや、人間は実を食べて種を捨てる" 丁寧に"ミロトダリ・アンバス""フランスの作家"と付け加えてな。」
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