九年

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 {………おらんのう。}  軒並み食べつくしたんじゃない?  ある凍り付いた森の中、体内の相棒と二人、獲物を探してうろついている。  ここ最近餌の数が減ってきたとは思うけど………。  {根元を叩き過ぎなんじゃ。}  そんなこと言われても。  チューリ・シーブス、今年で十七歳。  背丈は伸び、服の上からじゃ分かりにくいけど筋肉も付いた。  でも、宝玉のような碧眼と輝く白銀の髪は、幼い頃から変わらない。  {おい、チューリ。   何かあるぞ、”右”で見てみよ。}  ん。  同居人の魔力を体の表面に押し出し、姿が変わる。  身体の右側には鱗が浮かび、右手の爪は鋭く伸びる。  頭の右側からは魔力でできた鋭い角も生え、そして右目が紅玉の様に真紅に染まり、瞳孔が縦に割れた。  身体に居候している同居人、”氷龍”ウルス・ルシャーロの魔力の影響だ。  三割弱ほど回復した力は、そうとは思えない程凄まじい。  そして右目に宿る龍の眼は魔力を映す。  ホントだ、何かあるね……でもあれは餌じゃ無さそう。  陣だよ、たぶん。  {むっ……………のう、チューリよ…………}  却下、潰すよ。  {…………じゃろうのう。}
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