意外な事実

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名古屋駅の中央広場にある大きな時計は待ち合わせの定番だ。 金の時計の周りには円を描くように待ち合わせをしている待ち人がスマホを片手に周囲を見回していた。 「すみません、遅くなりました」 私がデパートの壁際に立つ小野田さんに駆け寄ると彼は時計を指して笑った。 「遅くなんてないよ。ほら、まだ十分もある」 振り返って時計を見ると、確かにまだ待ち合わせの時間にはなっていなかった。 「でもお待たせしまって……」 すると、彼は「ごめん、ごめん」と言いながら笑った。 「探すよりも探されたいなーって思って、早く来たんだ」 「え?」 「僕を探してきょろきょろ見回す小柳さん、けっこう可愛かったよ」
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