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軽い昼食で適当に済ませ、先にマンションを出たのは碧斗の方だった。
「いってらっしゃい……」
私は玄関まで見送らず、リビングのソファから声を掛けた。
改まった見送りはなぜか気が向かなかった。
これ以上、何と言って送り出せばいいのかもわからなかったから。
「お前もな」
碧斗は私を振り返るとそう言って玄関へ行ってしまった。
玄関の扉が閉まる音がかろうじて耳に届く。
「行っちゃった……」
私はソファに身を埋め、大きな息を吐き出した。
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