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爽やかな碧(みどり)の風が木々を渡って
ゆく。西の空に燃えるような太陽が沈み
始めていた。人の少なくなった
キャンパスに五時限の終了を知らせる鐘が
鳴り響く。
背筋を伸ばしたまま下を向いて眠って
いた伊藤賢一は背中を軽く叩かれて目を
覚ました。
「終わったぞ。」
「ん…。」
ゆっくりと顔を上げる。賢一はそのまま
静かに首を左に傾け静かに呼吸した。
次に右に傾け同じように数呼吸すると、
今度は両腕を上げて上半身をぐっと
伸ばした。ようやく目が覚めて意識が
はっきりした。
「さて、行くか。」
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