風を感じて

2/11
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
爽やかな碧(みどり)の風が木々を渡って ゆく。西の空に燃えるような太陽が沈み 始めていた。人の少なくなった キャンパスに五時限の終了を知らせる鐘が 鳴り響く。 背筋を伸ばしたまま下を向いて眠って いた伊藤賢一は背中を軽く叩かれて目を 覚ました。 「終わったぞ。」 「ん…。」 ゆっくりと顔を上げる。賢一はそのまま 静かに首を左に傾け静かに呼吸した。 次に右に傾け同じように数呼吸すると、 今度は両腕を上げて上半身をぐっと 伸ばした。ようやく目が覚めて意識が はっきりした。 「さて、行くか。」
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!