初めて

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「19番、辻誠です。」 俺の番が来ると、山口先生は少し驚いた顔をした。 面白い人。 男教師のくせに俺より小さい。 まあでも驚いた先は身長じゃないことくらい分かってる。 だけどこんな反応をされたのは初めて。 どの先生も最初は嫌そうな反応するもんだと思ってた。 「…随分と明るい髪色ですね。」 「地毛なんです、許してください。 目もちょっと茶色いでしょう?」 俺が山口先生ににこりと笑うと、 山口先生は困ったように目を伏せた。 あれ? 「そうですね、傷んではいないので地毛だと思いますが…これでは他の先生方に捕まってしまいますね、後で書類を渡しますので、帰ったら保護者の方に記入してもらってください。そして明日提出お願いします。」 …あれ…? 「涅色っていうらしいですよこの髪色。とても綺麗な色でしょ?……でも山口先生の黒髪はもっと綺麗ですね。」 なんだこの人…? 「当たり前です、僕は髪を染めたことがないので。では次の方お願いします。」 俺のこと、完全に素通りした。
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