602人が本棚に入れています
本棚に追加
/481ページ
「19番、辻誠です。」
俺の番が来ると、山口先生は少し驚いた顔をした。
面白い人。
男教師のくせに俺より小さい。
まあでも驚いた先は身長じゃないことくらい分かってる。
だけどこんな反応をされたのは初めて。
どの先生も最初は嫌そうな反応するもんだと思ってた。
「…随分と明るい髪色ですね。」
「地毛なんです、許してください。
目もちょっと茶色いでしょう?」
俺が山口先生ににこりと笑うと、
山口先生は困ったように目を伏せた。
あれ?
「そうですね、傷んではいないので地毛だと思いますが…これでは他の先生方に捕まってしまいますね、後で書類を渡しますので、帰ったら保護者の方に記入してもらってください。そして明日提出お願いします。」
…あれ…?
「涅色っていうらしいですよこの髪色。とても綺麗な色でしょ?……でも山口先生の黒髪はもっと綺麗ですね。」
なんだこの人…?
「当たり前です、僕は髪を染めたことがないので。では次の方お願いします。」
俺のこと、完全に素通りした。
最初のコメントを投稿しよう!