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その日の午後、3時過ぎ。
健太郎はチラシの束を持って、再び支部にやって来た。
チラシの内容は第二支部限定のお弁当の事だ。
健太郎は休憩スペースでお茶を飲んでいたオバサマたちをつかまえて、どんな料理が好きか、苦手な食べ物はあるかと尋ねている。
愛美は契約のデータ入力を済ませ、コーヒーを淹れるために休憩スペースへ向かった。
「アレルギーとか、どうしても食べられない物が入っている時は、個人的におかずを差し替えてもらえたら助かるわね。」
「なるほど、検討してみます。」
「私は揚げ物ばっかりじゃなくて、野菜も魚も食べたいわ。」
「そうですよね。」
愛美はコーヒーを淹れながら、熱心にリサーチをしている健太郎に少し感心していた。
「早速明日、試作を作ってみます。明日は特別に半額でお届けしちゃおうかな。」
「太っ腹ね!オーナー素敵!!」
「いやー、それほどでも…。でも、もっと言ってください。」
健太郎はどうやら、オバサマたちの心をつかむのがうまいらしい。
オバサマたちは健太郎とお弁当の話に夢中になっている。
(商売上手で何より…。)
愛美がコーヒーの入ったカップを持って席に戻ろうとすると、宮本さんが隣の席に愛美を座らせ、健太郎の脇腹を肘でつついた。
「ところで…ねぇ、隠さないでそろそろ教えてよ。」
「…?なんの事です?」
思い当たる節が見当たらず、健太郎はキョトンとしている。
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