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そんな事が出来るはず、ない。
「なんで……」
瓶をテーブルに置くと、また足を組み替え腕も組み、椅子にもたれ掛かる。
「運命をひっくり返したかったのさ」
掘り返したのは、何故?
持ってきたのは、何故?
誰の運命をねじ曲げる?
「そんなに驚く事かな」
瓶を凝視しすぎたのか、あまりにも素直に戸惑いや驚きが顔に出ていたらしい。可笑しそうに口元を歪ませ、彼女は身を乗り出す。
「君が私を知っていたように、私も君を知っているんだよ……殺人鬼」
違う、僕が知っているのは彼女じゃない。僕が殺した彼女は違う彼女で、彼女じゃない彼女で。
「一体私は、誰だろうね?」
彼女は再びひらりと両手を開いた。それは胡散臭い手品師がタネも仕掛けもあるトリックを、イリュージョンだと大袈裟に見せつけるような仕草で。
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