きっとまた、会えるから。

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話を変えた。 「君の大事な先輩と、君の出会いは運命なんだよ」 そう、決めつけた。 「君が中学の時に拾った石ころは、人間の命だった。それを劇薬が入っていた瓶に詰め、埋めた」 「そんな馬鹿な話が」 「君の大事な先輩は、見事君の手によって殺されていた」 "いつか、私を殺してね" 先輩のとろけるような眼差しが浮かぶ。 「そしてもう、死ねない」 唐突にお菓子の缶を開けた彼女は中からクッキーを一枚摘まみ出すと、それを口にくわえて立ち上がった。 「もう君を待つ事はないかな。だから」 ごちそうさま、とつり目でウィンクして、扉に手をかける。 「またね」 僕がナイフを取り出したのと、彼女が扉の向こうへ消えるのは、明らかに彼女の方が早かった。 「またなんか、あるか……っ」 先輩と同じ台詞を残して消えた彼女。追いかけても、無駄だろう。
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