「またね」

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そして僕は小学校を卒業し、中学校を卒業して、高校生活も終えた僕は、大学生となりました。 都内の国立大学に合格した僕は、家を出て一人暮らしをはじめました。 新しい街での新しい生活。 新居は狭いワンルームの部屋ですが、これからの生活を考えると、胸が躍りました。 引越の日の当日、積み上がった荷物もそのままに、僕はとりあえず近所を散策することにしました。 食料品や日用品などを買う店などを調べる意味も兼ねて。 街を歩いていると、公園の脇に小さなクレープ屋がありました。 小さい店だけど、並ぶくらいに客がいます。 ちょっと小腹が空いていたこともあって、僕は何となくそのクレープ屋に立ち寄りました。 お店の店員さんは、僕と同じ年くらいのかわいい女の子でした。 「いらっしゃいませ」 爽やかな笑顔で迎えてくれたその顔を見た瞬間、僕の脳裏に幼い頃の記憶が蘇りました。 「ヒナちゃん?」 思わず口に出してしまった僕の声に、店員の女の子も驚いたような顔をして、僕の顔をじっと見ました。そして、三秒くらいの後、 「もしかして…タケちゃん?」 と返してきました。 間違いありませんでした。そのクレープ屋の女の子は、あのヒナちゃんだったのです。 僕が頷くと、ヒナちゃんはそれまでの営業スマイルとは違う心からの笑顔を浮かべました。 「えー、こんなところでタケちゃんに逢うなんてっ!」 「僕も驚いたよ!ヒナちゃん、何年ぶりかな?幼稚園を卒園して以来…だよね!」 いろいろと話したいこともあったけど、別のお客さんが後ろにやってきていたので、僕は気恥ずかしい思いもあって、慌ててイチゴカスタードホイップのクレープを一つ注文しました。 ヒナちゃんの勤めるクレープ屋は、けっこう人気店のようで、続々とお客さんが続いています。 「ゴメンね、タケちゃん。あとで電話する。スマホの番号だけ教えて!」 クレープを焼きながら、ヒナちゃんは、近くでクレープを食べて、待っていた僕にそう言ってきました。 僕は、店のボールペンを借りて、クレープの包み紙を少し切って、裏に電話番号を書いて、店のカウンタ-に置きました。ヒナちゃんは、忙しそうなので、とりあえず、家に戻ることにしました。 「それじゃ、後で。あ…」 僕は思いだして、ふっと微笑しました。 「またね」 その言葉に、ヒナちゃんも嬉しそうな笑顔で頷きました。 「またね」
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