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「いらっしゃいませ、何名様でしょうか」
男性の店員が愛想のいい笑顔で言った。
「あの、待ち合わせしてて、すでに知り合いが来てると思うんですけど」
池本敏樹は店内を見渡した。平日の午後五時という時間のせいか、客は数えられる程度しかいなかった。
敏樹は奥の壁際の席に、待ち合わせの相手が座っているのを見つけた。店員にそのことを告げて、席へ向かった。席に座っている女性は窓の外を見ていた。
「ごめん、美紀。待った?」
敏樹は彼女の向かいの席に腰をおろした。
「え、ああ、私もついさっき来たところよ」
美紀は考え事をしていたのか敏樹が来たことに今気づいたようだった。
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