1-コーヒー店・Rufellvia

1/10
18人が本棚に入れています
本棚に追加
/125ページ

1-コーヒー店・Rufellvia

この町は、上から見ると、朔から数えて9日目の月の形をしている。膨らみかけの丸の形。北には、白い砂浜があって海へ続き、南へ向かうほど町は賑わい、やがて街道へと続いていた。町を走る石畳の道は、まるで、迷路のように入り組んている。 この国の中心地ーーーー町の名は、アルア。 海から街道までを、蛇のようにくねりながら繋ぐメインストリートを歩けば、丁度、町の中央に、大きく複雑な構造の建物が、道を挟んで2つそびえていた。歴史ある、古く美しい建物だ。ひとつは、基礎教育から専門知識までが学べる、スクール及び専科。もうひとつは、国を統治するための場所だ。 そこから、海の方へと10分ほど、これまた迷路のような道を行くと、噴水を中心にした小さな広場がある。歪な丸の形で縁取るように色とりどりの賑やかな店が並ぶ、そのひとつに、ひっそりと控えめに建つ店があった。 店の名前は「Rufellvia(ルフェルビア)」。 濃い茶色の厚い木の扉を開けて鼻をつく、香ばしいコーヒーの匂い。 「おはようございまぁす」 店のスタッフルームから、カフェエプロンを着けつつ現れたのは、16歳の少年。
/125ページ

最初のコメントを投稿しよう!