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「急がなくちゃ!急がなくちゃ!」
小学1年生の麻衣ちゃんは、ママが作ってくれたレッスンバックの中身を床にぶちまけると、かわりにプラスチックのオモチャの包丁とタオルを突っ込みました。
「本当は本物の包丁がいいんだけど子供はさわっちゃダメって…ママとの約束だからなぁ。おままごとの包丁でも殺せるかなぁ?」
麻衣ちゃんは、ずいぶんと物騒な事を呟いて眉根を寄せています。
そして去年の誕生日に買ってもらった『悪魔の儀式大百科』という子供向けのオカルト本を広げ『死者を復活させる儀式』のページをもう一度読み返しました。
「うまくできるかなぁ…?だけど、もう時間がないから、とにかく急がなくちゃ!」
そう言って麻衣ちゃんは、レッスンバックを引っ掴むと突風のように外に駆けだしていきました。
走って走って、息が上がり苦しくなっても、まだまだ走って、やっとの事で着いたのは学校の裏の空き地です。
「ミーちゃん達いるかなぁ」
1か月くらい前でしょうか?
お腹の大きな野良猫を見つけたのは。
麻衣ちゃんとそのお友達はミーちゃんと名付けた母猫の為に、給食の残りや牛乳を持ち寄りみんなで面倒を見ていました。
それから間もなく子猫が3匹生まれたのです。
麻衣ちゃんはミーちゃん親子のいるダンボール箱を目指して、育ちすぎの雑草をかき分けながらズンズン進んでいきます。
そして、
「あった!でも、昨日の雨でダンボールがぐにゃぐにゃだ。ミーちゃん達、いなくなってたらどうしよう」
麻衣ちゃんは足早に駆け寄りました。
そして雨で歪んだダンボール箱を覗き込みます。
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