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一週間。
僕がまともに食事をとれるようになるのに要した時間だ。一か月たったころには進学先の大学で、なんとか愛想笑いが出来るようになった。
そして、一年。
悲しい記憶は少しだけ色褪せて唯の夢もあまり見なくなった時、僕は同じ講義を受ける子に恋をした。
「隣に座ってもいい?」
緊張した面持ちでそう声を掛けてきた女の子との距離は少しずつ縮まり、それにつれてビビットカラーに輝いていた唯の思い出も、少しずつアルバムの一ページへと移り変わっていった。一年という歳月は、唯が忘れないで居て欲しいと言っていた期間の終わりでもあった。
唯の遺した言葉もあり、僕は大学で出会った子、坂崎美咲と仲良くなる事にもあまり後ろめたさを感じないで済んだ。明日、美咲への告白しようと決めた日の夜、僕は思い出となった唯の記憶の欠片を回収することにした。
一年前に埋めた、タイムカプセルである。
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