終わりの始まり

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「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ~~~~~~!!バッカヤローーーーーーー!」 キイィィーン… カラオケボックスの一室から獣の雄叫びにも似ていて悲鳴にも絶叫にも似た叫びが響き渡る。 「はぁはぁっ…」 「せ…せんばぁい…流石ですあはは…(汗)」 「ぞればどうぼ…」 完全に先程の大絶叫で喉が枯れかけている。 「さぁ先輩っ叫んで鬱憤も怒りも吹き飛ばせたでしょう?今日は歌って騒いで失恋なんか忘れちゃいましょう!」 にこやかにそう言いながらどんどん選曲していくのは私が職場で指導をしている新入社員で私の大学時代からの後輩。 「そうね…でも取り敢えず喉を潤すわ」 席に座ってアイスティーを飲む。 「では僭越ながら後輩のオレが先輩を励ます意を込めて歌いますっ」 軽くノリ良くマイクを掲げて次々に流行りの歌を唄う後輩の姿をやれやれと肩を下ろして見守る。 …私の失恋を励ますなんて言っておいて、単にカラオケに来る口実が欲しかったんじゃないの?
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