おまけ。シマリスというオンナ。(大和編)

24/26
1670人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ
翌朝、シマを起こして、夜が明けていくのを一緒に眺め、 桜を見に行こうとシマを誘う。 桜子の遺骨は桜子の希望で実家に引き取られ、 俺は墓参りをしないよう、桜子に約束させられていたから、 シマと新しい生活を始めるにあたり 自分の決心を報告するのは 桜が咲いたときに昔よく行った場所にしようと決めていた。 本当はシマとのことを桜子に報告するのは 来年になるかと思っていたので、 なんと言おうかとちっとも考えていなかったけど、 急にシマの決心がついたようなので、 ちょうどいいから報告を済ませたい。と思いたったのだ。 桜のトンネルの前でオートバイを止める。 月並みだけど、 桜子に今までありがとう。と別れを告げる事ができた。 桜子、本当に愛してた。 と涙が頬をつたう。 朝の光の中、海岸沿いをオートバイで走る。 後から俺の体にギュッと手を回すシマの体の温かさを感じながら 俺は新しい始まりを感じていた。 「来年も一緒に桜のトンネルを通りたいです。」と言うシマの声が聞こえる。 俺は泣いているのを悟られないように 「おう。」と短く返事をした。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!