序章 文芸部存廃問題

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「えっと、次の議題は文芸部の廃部に関する警告です」 窓の外を眺め、雲行きを気にしていた俺は、議長の発言に驚いてしまった。 そういえば、九州は梅雨入りしたんだっけな……と、全く関係のないことを考えていた。 「は、廃部?」 素っ頓狂な声が出てしまった。 「はい、廃部です」 「ハイハイ部?」 「違う! ふざけないで」 「至って真面目ですよ」 そして、お決まりの脱線が続いた。 「えっと、よろしいですか?」 「文芸部は、今年度の入部者数が一人です」 彩のことだ。 「本稿の部活動規定では、『2学年に亘り、かつ10人以上の部員が所属すること』となっています。文芸部の現在の部員数は七人。内訳は三年生が六人を占めています」 この時点で、本来なら規定に達していない。 「しかし、今年度は特例が適用されていますが、次年度はありません。依って、本来ならば、今年度一杯で廃部となります」
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