ワタシ、変なんですぅ

20/20
562人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「そっか」 何が『そっか』なのだろうか。 パチパチと瞬きを繰り返すと、 小野寺先生は私の正面に腰を下ろす。 「マミっていうんだ?」 「いえ、本名はリナですが…」 妹2人の名前をくっつけたという、 いつもの件(くだり)は省く。 「いいな、イメージどおりだ」 「な、何がですか?」 「巴さん、ちょっと借りるよ」 「え?小野寺センセ?? こ、困りますっ、マミ先生をどこへ…」 「次回作は調教モノなんだけどさ、 当初の路線から変更して、 ちょっと純な感じのコを出したい」 「え、で?」 「隣りの個室に連れてく。 ちょっとイメージ膨らませるために、 このコ借りるよ」 「そ、そんな、マミ先生も執筆中でして」 「すぐに終わるから!」 「はああ??」 …そんなやり取りの後、 隣室へと連れて行かれ 真横に座らされた。 ち、近い。 「あのさ、同業だし分かると思うけど、 登場人物の経歴とかイチイチ考えるの、 面倒臭いよな」 「そ、そうですね」 「でもそこが結構重要だったりするし」 「た、確かに」 そんなワケで。 私は初対面のこの無愛想な男に、 自分の経歴を洗いざらい 話すハメになったのである。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!