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「あー、ストップストップ、マドカ!」
パンパン!と手を叩いたドロフェイはデッキから流れる曲を止めた。
翌日、親戚の家から荷物をすべて拓也さんの家に移し、その日の昼からドロフェイと拓也さんの鬼のようなレッスンが始まった。
拓也さんの自宅兼レッスン場を借りてのレッスン。
前と左右は鏡ばりで、小鳥遊の小スタジオとほぼ同じ大きさのレッスン場。
床全面には滑りにくいリノリウムまで敷かれている。
自宅にこれだけの設備を作れてしまう拓也さんの財力に開いた口がふさがらない。
そして、今はそのレッスン場でドロフェイのセンターレッスンの最中だ。
「マドカは一個一個のポーズがちゃんと出来てないんだよ! ほら、アラベスクしてみて」
鏡の前に立っているドロフェイに向かって、右足を軸足に左足を90度以上にあげて、右手は体の前、左手は肩の横でまっすぐと伸ばし第一アラベスクのポーズをとった。
「ほら、鏡みて。マドカの場合はね、左足であげているんじゃなくて、腰であげてるんだよ。それにお尻と膝が外側に向いているじゃないか!」
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