アッサンブレする天才

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アラベスクをとる場合、人間の体の構造的にあげた方の脚の膝が床に向いてしまう。 そうするとアラベスクの美しい姿勢ではなくなり、お尻を突き出したようなポーズになってしまう。 そこで膝がアン・ドゥオール(外側)になるように脚の付け根から力を入れてひねり、お尻を突き出した姿勢にならないようにぐっと力も入れてポーズを取らなければいけない。 そう頭では理解していても、そう簡単にできることではない。 「ほら、足もっとあげて」 ドロフェイが右手で私の腰を支えて、左手で脚を持ち上げた。 「ほら、鏡みてマドカ。マドカの場合、腰で足をあげてるんだよ」 ドロフェイが脚をぐいっと一層持ち上げると、確かにレオタードの腰の部分にシワがよった。 ドロフェイが手を離して私の前に立つ。 「マドカって体柔らかいからそんなあげ方できるんだと思うんだけど、いつか絶対に腰を痛めるよ。長く踊りたいなら、今すぐその癖を直さなきゃいけないよ!」 マドカならできるよ~、と呑気に笑うドロフェイ。 一旦ついた癖って、なかなか治らないんだけどなぁ・・・
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