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「見合いで会ったときには、こんなに美人な人とは初めて会ったと思った。
結局、君とは上手くいかなくて別れることになってしまったけれど、今では窮屈な思いをさせてしまった僕も悪かったと思うんだ」
「……だから?」
あれだけ人を罵ったくせに、何を言っているんだか。
イライラしながら返事をすると、元旦那はこう言った。
「君に、謝りたくなった。……僕ら、もう一度やり直すことはできないのかな」
「無理よ」
素っ気なく呟くと、元旦那が悲しそうな目をする。
「もう、僕の為に嘘をついてはくれないの?」
なんて情けない声を上げるのか!
「私、もうそんな風に器用になんか生きられっこない」
好きでもない男の為に嘘をついて、流れる川に逆らうことなんてもうできない。
それを端的に告げると、元旦那は得心がいった表情になった。
「……そうか。」
「ヨル。好きな人ができたんだね」
柔らかな笑顔で、彼は寂しそうに言い残した。
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