付き合って二年目くらいかな

2/12
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
ふわふわしたチョコレート色の髪。同じ色の瞳は世界でも有数のショコラティエによる傑作、宝石みたいな輝きを持つ。 白い肌にとろける甘さの王子様フェイス。身長も高くスタイルもよくて、当然のように女の子からの人気と視線を独り占めにするこの男。 「お前の姉ちゃんの名前、千代子(ちよこ)だよな」 「だ、だからなんだよ……」 見た目のイメージで勝手に甘党だと決めつけられるが、実際には甘いものが苦手で、特にチョコレートなんかには吐き気がするらしい。 それは、自分の名前を呼ばれるのも嫌になるほど。 「しかしお前の親もよくつけたよな。名字、佐藤なのにさ」 「名前呼んだら友達やめる」 俺とコイツは幼なじみで、コイツのチョコレート嫌いは子どもの頃からだ。 ちなみに俺は甘いもの、特にチョコレートに至っては大好物の甘党。ただ、ツンツンと立てた真っ黒な短髪、つり目がちでチビの俺は、甘いものなんか食わない人種に見えるらしい。 「それは困る」 お前に友達やめられたら、甘いお菓子が俺に回って来なくなるじゃないか。 女子からしょっちゅう甘いお菓子を貰うコイツは、そのすべてを俺に消費させていた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!