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ふわふわしたチョコレート色の髪。同じ色の瞳は世界でも有数のショコラティエによる傑作、宝石みたいな輝きを持つ。
白い肌にとろける甘さの王子様フェイス。身長も高くスタイルもよくて、当然のように女の子からの人気と視線を独り占めにするこの男。
「お前の姉ちゃんの名前、千代子(ちよこ)だよな」
「だ、だからなんだよ……」
見た目のイメージで勝手に甘党だと決めつけられるが、実際には甘いものが苦手で、特にチョコレートなんかには吐き気がするらしい。
それは、自分の名前を呼ばれるのも嫌になるほど。
「しかしお前の親もよくつけたよな。名字、佐藤なのにさ」
「名前呼んだら友達やめる」
俺とコイツは幼なじみで、コイツのチョコレート嫌いは子どもの頃からだ。
ちなみに俺は甘いもの、特にチョコレートに至っては大好物の甘党。ただ、ツンツンと立てた真っ黒な短髪、つり目がちでチビの俺は、甘いものなんか食わない人種に見えるらしい。
「それは困る」
お前に友達やめられたら、甘いお菓子が俺に回って来なくなるじゃないか。
女子からしょっちゅう甘いお菓子を貰うコイツは、そのすべてを俺に消費させていた。
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