甘いのに苦い

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
これは恋が楽しくて仕方なかった頃の「私」の話 その頃の私は「恋をしてないと女の子なんて呼べない!」なんてよくわからない思いというものがあって 恋愛とは切っても切り離せない日々 そんな私にも初めて「彼氏」というものができた 入学当時から気になっていた同じクラスの彼 相手にも気になってもらえるように毎日頑張っていた私、そんな彼に告白された時は本当に夢みたいで嬉しかった そんなある日 その日はバレンタインだった もちろん私は彼にチョコレートを渡した でも彼の様子がいつもより少し、そわそわしてるような気がして 「どうかしたの?」 思わず聞くと、彼は背中に隠していた一つの箱を私の手に それはいわゆる「逆チョコ」というやつで 中身は高そうなキラキラした色とりどりのチョコレートがたくさん 「これ、高かったんじゃないの?」 「初めてのバレンタインだから、俺からもなにかしたくて」 それだけでも嬉しかったのに、彼はもう一つなにかをカバンから取り出した 「付き合ったときお前の誕生日過ぎてたから、今更で申し訳ないんだけど」 それは、私がずっと欲しかったうさぎのキーホルダー 欲しいなんて1度も口に出したことなかったのに 「なんで知って‥‥」 「わかるよ、それくらい」 「ずっと大切にする」 「おう、そうして(笑)」 世界一幸せだった でもそれからしばらくして彼の周りには女の子が集まるようになった かっこよくて優しい彼 付き合う前からそういうことはよくあったから、あんまり気にはしてなかったけど ある日から 私が彼に飽きてもう新しい男に媚を売っている という噂が流れた こんな噂、誰が信じるんだろうか 彼といつもの下校 「‥‥お前ほんとに俺のこと好きなの?」 「え‥‥?」 なにそれ、あんな噂。信じたっていうの‥‥? 「俺はお前のこと本気で好きだけど。お前が違うなら‥‥俺は別れてもいいって思ってる」 「‥‥ない」 「‥‥え?」 「意味わかんないよ、じゃあ別れるって言ったら。それでいいの?」 「お前がそうしたいなら俺は‥‥」 「それって別れたい理由をを私に押しつけてるよね」 「そういうつもりじゃ‥‥」 「そういうことだよ。別れる、もう話すことは無いよね」 そう言い残して私は、その場をさった カバンにはあのときもらったうさぎのキーホルダーが 寂しげに今でも揺れている
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!