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テスト明け、わたしはいつものおさげ姿に丸眼鏡で、いつも通りに愛想もなく淡々と生徒会の仕事をこなしていた。
変わったことは、お茶を淹れなくなったこと。そしてなぜか大魔王は降臨したままである。
会長が席を外した途端に、質問責めに合った。
「あのさ、会長と何があったの」
「何もありません」
本当に何もない、起こるわけもない。だって会長は『山茶花の君』に恋い焦がれているのだから。
私が最近自覚した淡い想いなど、迷惑以外の何者でもないだろう。
「そうなの? 会長は君にフラれたって言ってたけど」
「…………は?」
たっぷり三十秒数えて間抜けな声をあげる。
「君が髪を下ろしたところを他の男に見せたくなくて、余計なこと言ったってヘコんでたよ」
「ヘコむ? 会長が? 何故」
「具合が悪そうだったから送っていくって言ったのに断られたとか」
別の役員からも問われた。
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