山茶花(さざんか)と大魔王

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 秋刀魚の季節は過ぎ、あんこう鍋の美味しい季節になった。  あんこうは高いので今夜は湯豆腐かもしれないとか考えつつ、丸眼鏡越しに目の前の裁きを静観していた。  わざとらしく大きな溜め息をつき、長い脚を組み替えるその人の背後で、待機する。    恐らく彼は目の前の生徒達を、傲慢な目付きで見下ろしているのだろう。 「報告に上がっている会計に不明な点が多いから、見直して出すように言ったはずだよな」  青い顔でうつむく彼らが、ビクリと肩を震わせる。   「み、見直して再提出をしたんですけど……」   「じゃあ聞くが、活動費の項目“その他”を再調査して額が減ったくせに、交際費の項目が増えているのはなぜだ。 領収書を添えろと指示したはずだが、該当するものは見当たらん。 これで不備がないと言えるとは、俺を舐めているのか」  生徒会長室。会長専用の椅子にふんぞり返って座る彼が、右手を背後に立つ私に向けヒラヒラと振った。
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