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『船橋―、船橋―』
ドアの前に立っていた僕は一度駅に下りてから、再び電車に乗り込んだ。
その僕の背中を、ぎゅんぎゅんと押してくるやつがいる。
そんなに奥に行きたいなら先行けよ。
僕は身体を細くしてそいつに譲った。
振り向くとそいつは女で、やけに色っぽく前髪をかきあげる。
しかもかなりの美人顔。
それでもそんなじゃきっと男は寄り付かない。
そう悪態をつく僕は二十七歳、まだ童貞。
マイペースで何が悪い。
駅に下りた僕を、くしゃみの三連発が襲った。
そして再度ドア付近を死守。
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