迷い人

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「連れとはぐれたんです!探してください!!」 『特徴は?』 「帽子かぶって、杖ついてます。早く探して!」 『同じ格好の人たくさんいますから。詳しく言ってもらわないと……』 「そんなの覚えてないわよ!!」 『じゃあ探せませんね』 「何よあんた!どうかしてるわ。もういい、警察呼ぶ!」 10分後、交番の警官到着。 【お連れ様とはぐれたのね?】 「そうなんです。お店の人には探せないって言われて……」 【服装は?】 「帽子かぶって、杖ついてます」 【よく思い出してね。帽子は何色?形は?】 「覚えてないのよ」 【え?家族だよね?一緒に来たんだよね?】 「はい」 【じゃ、上着はどんなの?】 「だから覚えてないんです!!!」 【何怒ってるの?覚えてないってどういうこと?自分で探し物する時、物の特徴イメージするでしょ。それを元に探すでしょ?それと同じ。情報もなしに人探しのお手伝いなんてできませんよ。いたずらならやめてね、私たち暇じゃないの。人命かかってますからやりますけどね、いくら警察でも容姿わからなきゃ誰も探せませんよ】 相当怒られてた。 僕の代弁をありがとう。 【警備の人?】 『はい』 【はぐれた場所、防犯カメラ映ります?】 『はい、逆再生で追えます』 【でも、服わかんないよね】 『この人で追えばいいです』 僕は横柄な女を指差した。 【おお!警備の人がね、頑張って防犯カメラで追ってくれるって】 「探せるじゃない!最初からそうしなさいよ!」 【まだわかんない?あなたが服装教えてくれたらもう捜索入れるの。わざわざやってくれるんだよ。このやり方、通常の4倍時間かかるのね。それでも探そうとしてくれてんの。感謝はされても、文句を言われる筋合いないよ!】 『おまわりさん、カメラ精査を拒否してもいいですか?』 僕の言葉に女はキーキー喚いてる。 【お気持ち察しますが、何とかお願いできませんか】 『では、映像提供するので調べるのは警察でお願いします。僕も暇じゃないんです。別の仕事を途中で放り出して来たので、その業務に戻りたいです。映像撮るなら早くしてください』 【すいませんねぇ……。ほら!あなたも謝って!】 女は謝りもしないし、お礼も言わずに帰っていった。 警察から対応結果聞いたけど、捜索対象者、家帰ってたって。 警察呼ぶ前に自宅に電話で確認しろ!
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