お弁当 その2

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10分後・・・ 強烈な満腹感では無く、絶対的な疲労感が襲って来るのは何故だろう。 頬張る! 流し込む! 頬張る! 流し込む! むせる! 頬張る! 嘔吐く? 流し込む! を繰り返した結果、奇跡的に完食に至った。 まさに、執念と尊厳の勝利と言えるだろう。 そして川辺に降り、弁当箱と布製の鞄を洗う。 「何が悲しゅ~てこの真冬に川で洗濯せなイカンのだ? お伽噺の婆さんじゃ在るまいし・・・ これで桃でも流れて来ようモンなら、中のクソガキ引っ張り出して桃に籠城して太平洋横断して、海○王になってやる!」 当然、桃が流れて来るはずも無い訳で、私の目論見は霧散してしまう。 ・・・ 何となく理不尽だ。 ベンチに戻り、煙草に火を付ける。 吸い込むと、微細な刺激と共に冷やかな冬の息吹が身体を駆け巡る。 吐き出した紫煙が冬天に交わり消えてゆく。 それをぼんやりと眺めながら、 「説教・・・ だな。」 私は小さな声で呟いた。
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