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日々何気なくかけている電話。
大切な人と。毎日会っている人と。
お世話になった人と。しばらく会っていない人と。
気持ちを伝える事が出来ていない人と。
もう…亡くなってしまったあの人と…。
とある街の商店街。
シャッターも少し目立つが人通りは少なくない。
買い物をしている人や帰宅途中の学生の姿が目立つ。
イヤホンで音楽を聴きながら歩いていても、
活気のある声が聞こえてくる。
そんな商店街の隅。
隅ともなると、アーケイドの屋根も無くなり、活気のある中心部とは逆に静けさを感じる場所となる。
見えてくるのは3階建ての古いビル。
1階は喫茶店だ。
「カフェ」という言葉よりも「喫茶店」という言葉がしっくりと来る場所であり、外から見える店内は、白熱灯特有のオレンジっぽい灯りだ。
店の前には小さな立て看板。
『ダイヤル000』
それが、この喫茶店の名前のようだ。
決して流行っていると言える様子ではない喫茶店。
中を覗くと近所のおじさん、おばさんと思われる人が数名いる事が分かる。
カツカツカツ…。ヒールの音が止まる。
音楽を聴きながら歩いていた女性が、
その喫茶店の前で立ち止まった。
スマートフォン片手に歩いている所は、いまどきだ。
スマートフォンの画面と喫茶店、交互に見ている。
イヤホンを外し「ここだ…」そう呟いた。
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