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――今日が、俺たちの最後の日――
律斗は自分に言い聞かせた。そうでもしないと、目の前に居る後輩の不可解な行動を咎められないと思ったから。
「ねえ久保坂、何してるの?」
「またね」
「はい?」
「楠間先輩の股の間で寝ること。略して“股寝”っス」
「しょうもないことを……」
久保坂は仰向けになって律斗の下腹部に頭を置き、完全にくつろいでいる。いくら彼が赤点の常習犯だからといっても、自分より背の高い男の子供じみた振る舞いに呆れてしまう。
「でも先輩、嫌がってないじゃないですか」
「……」
確かにくだらないとは思うが、嫌悪感は抱いていなかった。
ここまで気を許せるのは他でもない。彼が律斗の恋人だからだ。
「仕方ないな……こんなことさせるの、久保坂だけだから」
「あざっス!」
ごにょごにょと曖昧に呟くと、久保坂は嬉しそうにニッと笑ってこちらに腕を伸ばしてきた。その手に後頭部を捉えられ、ぐいと引っ張られる。
「わっ……!」
前のめりになった律斗の目前に、久保坂の唇が迫ってきて。心の準備をする間もなく、熱い口付けに襲われた。
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