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第1章 最強の幼馴染み
週直の作業が遅れてしまった。
高校2年の真菜は、下駄箱で靴を履き替えると、慌てて昇降口を出た。
放課後の校門で、いつものように隣の男子校に通う、幼馴染の由輝が待っているからだ。
「お待たせ」
そっけなく「おう」答えたと同時に、歩き出す幼馴染の由輝。
生まれた時から家も隣同士。真菜と由輝は、幼稚園から高校とずっと当たり前のように一緒に登下校を共にしていた。
幼い頃は、お転婆な真菜に、泣き虫な由輝が寄り添っていた。しかし、いつの頃か態度も体格も大きくなった由輝に、真菜が寄り添うように歩くようになっていた。
家路に着くと、いつもの確認のように真菜は、由輝に聞く。
「今日は寄ってく?」
「ああ、寄ってく」
由輝の両親は共働きで、帰ってくる間、真菜の家にいる事もしばしば。お互いの家を行き来するのは普通のことだった。
二人の母親が幼馴染で、共に「最強の幼馴染」と呼び合うほど仲がいい。お互いに一人っ子で、何をするのも一緒だったという。
子供の頃に二人の母親は
「いつかお婿さんを貰って子供が出来て、それが男と女だったら結婚させよう」
と、誓い合ったと言う。子供の意思は、お構いなしの誓いだ。何せ、真菜の「真」は、由輝の母の「真子」から。由輝の「よし」は、真菜の母の「よしえ」からと、お互いの名前を交換して付けるといった徹底ぶりだ。
この二人の行動は異常過ぎて、二人の夫は、「魔女の呪い」と言っている。
家のドアを開け、
「ただいま」とふたりが言う。キッチンの方から魔女の一人、真菜の母が
「おかえり」と、応えた。
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