ようこそ我が家へ!

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人間界に降り立ったときに地面にめり込んだ話で皆が爆笑し、人間の友達ができたとちょい照れながら報告すれば慈愛に満ちた親の顔で頭を撫で撫でされ、友達を庇って大怪我を負ったことに対しては拳骨をくらった。 小さい頃からずっと一緒にいるから友達っていうより親みたいな感覚になるときがあるけど、まぁこんな友情のカタチもあっていいんじゃないかな。 「ほぉ?ではこちらの世界にお主の友人が来ておるのか」 人間界でのあれこれを一通り話し終えてから現状を伝えると、興味津々に俺を見つめる皆。好奇心が見え隠れする表情でどこか期待している目だ。 「あとで紹介するね」 滅多に見ない感情の起伏にくすっと笑い、そう言い残して皆と別れる。 神様の友達との再会にはしゃいじゃったけど、いい加減自分ん家に帰らないと白狐あたりが心配しそうだ。 「爽じゃないか!いつ帰ったんだ?」 「ついさっきです!嵐武様に強引に連れられました……」 「あらあら、あの方も随分寂しかったのねぇ」 「お帰り。またいつでも遊びにおいで」 「ただいま帰りました!人間の友達も一緒なので皆さんに紹介しますね」 「まぁ!爽ちゃん以外の人間と会うなんて久しぶりだわぁ」 嵐武様の屋敷に向けて歩いてる最中、何度も神様から声をかけられては笑顔で対応する俺。 道中ばったり出くわすのは下位から中位の神様で、神友達はそもそも位がない。それほどの力はないからね。ちゃんとした神ではないから敬語はいらないと口を揃えて言われたので、神界では神友達限定でタメ口だったり。 神友達以外にも知り合いは沢山いるから、多少畏まった口調でもこうして話しかけてくれるのだけども。 神界の独特な空気を肺いっぱいに吸い込む。 神気の混ざったこの神聖な空気を吸うとなんか妙な感覚になるな。あれだ、故郷に帰ったとき特有の感覚。それに近い。 「……帰って来たんだなぁ」 声に出してしまえばストンと胸に落ち、なんだか浮き足立つ。 口元を緩めたまま足取り軽く懐かしい我が家へと歩を進めた。
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