25人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
向こうは私を憶えてるかしら?
そんなこと、ないわね。
忘れてるに決まってる。
満足に話したこともなかったのだから。
あー、こっちを見そう。
でも、まだ私だと気付いてないみたい。
それに、歩いてる道自体が別々だから直近で擦れ違うことはない。
このまま、私は桜並木の遊歩道を。
彼は下の道を。
数メートルの段差だし、向こうがこちらを見上げたりしなければ、多分大丈夫。
万が一、私に気が付いたとして彼はどうするかしら?
黙って、通り過ぎるわよね。
だって、特段の知り合いでもないし……。
最初のコメントを投稿しよう!