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俺には見えるものが人には見えないという。
生き物たちから天まで伸びるこの光芒は、俺には夜になると、月明かりを受けてきらきらと輝いて見える。
生まれてこの方この光を見なかった夜はない。
俺は昔から「変な子」だったらしい。
まあ、この村にたった一組の魔法使いの夫婦のもとに生まれたのだから当然と言えば当然である。
しかし、俺はその両親からでさえ、不気味な力を持っていると言われてきた。
とはいえ、何より変なのは俺のこの姿だろう。
どうしたことか、俺には黄金色の毛に覆われた尾がついているのだ。
「シャン」つまり、「猫の尾」。
それが俺の名前だった……。
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